『新NISAという名の洗脳』森永卓郎著|要約&感想|国の罠?やめたほうがいい?

読書
この記事は約8分で読めます。

今、世界中でお金についての不安が高まっているような気がします。私自身もお金の勉強の必要性を感じ、ここ数年で何十冊かお金の本を読んできました。

その中でも気になったのが、2025年1月に逝去された森永卓郎さんが、亡くなる前に渾身の力を込めて書かれた書籍。約20冊ある中から、今のところ7冊読みました。今回はその中から、『新NISAという名の洗脳』についての要約と感想を書きます。


2024年に新制度へと大きく変わった「新NISA(ニーサ)」。投資の敷居を下げ、多くの人にとってチャンスに見えるこの制度ですが、果たしてその裏側に“罠”はないのでしょうか?

この本では、「投資をすすめる背景には、国家のある“意図”がある」とする著者の鋭い視点から、制度の本質に迫ります。この中には、主婦にとっても、知っておくべき内容がぎっしり詰まっています。


『新NISAという名の洗脳』要約

◆ 新NISAとは?

新NISAとは、2024年からスタートした非課税投資制度です。
旧制度では年間の非課税枠に制限がありましたが、新制度では年間360万円、最大1,800万円までの投資が非課税で可能になりました。
「これからは貯金より投資の時代」「資産形成は自分の責任」…テレビやネットで、こんな言葉を目にしたことはありませんか?

確かに、物価は上がり、金利は低いまま。将来の年金にも不安がつきまといます。そんななか、新NISAは「老後資金の救世主」にも見えるでしょう。

でも、森永さんはこう問います。「本当にそれは、私たちのための制度なのか?」


◆ 森永卓郎氏が語る“洗脳”の構造

著者の森永さんは、経済アナリストとして長年社会の裏側を見てきた人物です。彼は新NISAを、国による“洗脳”の一環だと表現しています。

なぜなら、国家は今、年金制度や社会保障の見通しに限界を感じており、「自分の老後は自分でなんとかして」という方向に舵を切ろうとしているからです。

新NISAが「みんなに得になる制度」のように広められているのは、投資を広め、将来の自己責任を当然のことにするため――。
それが国の“意図”であり、制度の背後にある“大きな流れ”なのだと警鐘を鳴らしています。


◆ 投資ブームの裏にある“罠”

「積立投資をすれば安心」「ドルコスト平均法でリスク分散」など、新NISAに関連する情報はポジティブなものが多く見られます。
しかし、森永さんはこう警告します。

「市場には上がる時もあれば、暴落する時もある。どんな制度でも、絶対に儲かるとは限らない」

実際、投資に慣れていない初心者が制度に飛びつき、思わぬ損失を出してしまうこともあるのです。
家計に余裕がない中で、無理に投資を始めてしまうことこそが、大きな“罠”になるかもしれません。

特に主婦の場合、パート収入や家計のやりくりからの捻出になることが多いため、損失が生活に直結するリスクもあります。


◆ 家計を守るために必要な視点

本書では「投資を完全に否定している」わけではありません。
むしろ、制度の仕組みや背景をきちんと理解した上で、自分に合った方法を選ぶことの大切さを説いています。

「何も考えずに“みんなやってるから”と始めるのではなく、“なぜこの制度があるのか”を知ることが、家計を守る第一歩である」――
これは、家庭を持つ主婦にとっても、非常に重みのあるメッセージです。


『新NISAという名の洗脳』感想

◆私の感想

私が本書から受けた森永さんからの強いメッセージは、「お金に振り回されるな!」というもの。

要約でも書いたように、森永さんは投資を完全に否定されているわけではないと思います。

ただ人間には「お金に振り回されてしまうがゆえに、知らず知らずのうちに、自分の許容範囲を超えて投資をしてしまう可能性が、十分ある。」ということを警告してくれています。

森永さんは、余命が少なく、さらに存分に社会で働いてきて老後を過ごす立場です。そのため、主に同年代の方へ向けて「欲をかきすぎず、自分の本当にやりたいことをやって、老後を楽しく過ごす」ことを提唱しています。

これは、40代の主婦の立場である私にも、重く響きました。

預金だけではお金を増やすことができない今、新NISAは預金よりもお金を増やすことができる手段として魅力的なものであり、私も利用しています。しかし、投資である以上、暴落するリスクは避けられないため、欲をかきすぎて、身の丈以上の投資まではしない様、気をつけていきます。

◆ その他の読者の声

実際にこの本を読んだ40代主婦の声をいくつかご紹介します。

・パート主婦(47歳)
「『みんながやってるから』と焦ってNISA口座を開設しましたが、この本を読んで立ち止まれました。流されるのではなく、納得して動くことの大切さを痛感しています。」

・子育て中の主婦(42歳)
「“国家の意図”なんて考えたこともなかったですが、読んでいて『ああ、そういう見方もあるのか』と目が開かれました。情報をうのみにせず、自分の頭で考えることって本当に大事ですね。」

・夫婦で読書した主婦(49歳)
「夫と一緒に読んで、家計の将来について真剣に話すきっかけになりました。“投資で損したくない”という気持ちばかりが先行していたけれど、まずは制度の背景を知ることが必要ですね。」


◆ まとめ:まずは知ることが大事

新NISAは確かに魅力的な制度かもしれません。しかし、森永卓郎さんが語るように、その裏には“罠”が隠れている可能性もあります。
焦って飛びつく前に、いったん立ち止まって考えてみる。自分と家族の生活にとって、本当に必要な選択かどうかを見極める。

この本は、そうした冷静な判断を促してくれる一冊です。
もし「新NISAってよくわからないけど、みんなやってるし…」と感じているなら、専門家が書いた本を何冊か読んでみてから始める方がいいかもしれません。

多くのお金の本がある中、本書は「欲をかきすぎる人間の性(サガ)」についても説明してくれているため、参考になる点が多いと思います。

コメント